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【書評】敗れざる者たち/沢木耕太郎

深夜特急にのめり込んで海外旅行に憧れ、凍を読んで登山に行きたくなる。

沢木耕太郎さんの文章には、どこかそういう「麻薬」的な魅力があります。確か、深夜特急を知ったのは大学の先生に進められてのことで、読了後、初の海外(アメリカ)に一人で飛び出しました。

本書「敗れざる者たち」は、沢木さんがスポーツ選手(馬含む)に付いて綴った文章をまとめた者。市民ランナーなだけあって、特に円谷幸吉に関してかかれば文章が刺さりました。

 

円谷幸吉さんの名前を聞いたことがある方は多くいらっしゃるかと思います。

東京オリンピックのマラソンで銅メダルを取り、戦後の日本に大いなる感動と勇気を与えてくれた人。白黒の映像でアナウンサーが「頑張れ!」なんて言いながら円谷さんを応援している映像もよく目にします。

そんな”陽”な一面しか知りませんでしたが・・・20代という若さで、自らの手で命を絶っていたとか。

 

銅メダルを取り、さらにその若さから次回オリンピック(メキシコ大会)でのメダル獲得も望まれる中、大きなスランプに陥り、そのまま復活を遂げることなく自らの手で、ということのようです。

文章中に彼の行動やコメントが記載されており、それを見る限り本当に真面目な人だったようです。自衛隊に所属していて、その軍服を好んで着用していたり、親父にしつけの一環で言われた「服を脱いだらたため」というのを、大人になっても愚直に実行していたり。

遺書には

幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません

とのコメントが残されており、メダリストの自殺というだけあって、大きなニュースになったとか。

 

最近も、韓国のアイドルグループのメンバーが自殺しているのがニュースになっていたり、日本でもアナウンサー、アイドル、ミュージシャンなど有名人のみならず、小学生・中学生までもが自ら命を絶つことが頻繁に報道されます。

そんなに思い詰めなくても・・と言いたくもなってしまいますが、それはあくまで第三者からの、ある意味冷酷なコメントであって、本人からすれば命を賭すほどの重大なことなのですね。ポジティブに考えましょう!なんて役に立たないアドバイスをするつもりはありませんし、国をあげても自殺者を減らそうと動き出しているところではございますが、苦しんで自ら命を絶つ人が1人もいなくなる世の中の一日でも早い実現を望みたいです。自分も微力ながら、周りでそういう人を出さないよう、声がけ、観察していきたいなと思う今日この頃でございました。

 

なんか暗い話になってしまいましたね。。すみません。

 

敗れざる者たち (文春文庫)

敗れざる者たち (文春文庫)

 

 

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