【書評】君たちはどう生きるか
今更かよ!感がありますが、年末で時間ができたので休みを利用して読んでみました。
「君たちはどう生きるか」(漫画版)
主人公のコペル君(コペルニクスに由来)が日々の生活の出来事から考えたこと、感じたことに対し、元編集者のおじさんがコペル君向けにノートに記した文章を読み、考えを深め、成長していく物語。コペル君が体験することは、
・友人がいじめられて(いじられて)いるのに、助けられずにモヤモヤしたこと
・貧乏な友人を見て感じたこと
・友達が上級生にいじめられているのに助けられなかったこと(後悔)
など、我々が日常の生活でも経験するであろう些細なこと。
それに対するおじさんのコメントにより、客観的に物事を捉えられるようになっていきます。
例えば、友達がいじめられるのを見て助けられなかったことを後悔しているコペル君に対し、苦しい・痛いと思う気持ちは、正しいと思っている道から外れていることを教えてくれているのだということを、ゲーテの格言を引いて示しています。
「誤りは真理に対して、ちょうど睡眠が目醒めに対するのと、同じ関係にある。人が誤りから覚めて、よみがえったように再び真理に向かうのを、私は見たことがある。」
格言集で見るのも勉強にはなりますが、こうやってストーリーの中に組み込まれるとより腹落ちして理解できますね。人間は痛みのセンサーを持っていて、だからこそ苦しむことも多く、そんなセンサーなんてなければいいのにと思ってしまいます。ただし、そのセンサーこそがある面では何よりも大事なものであり、痛みこそが人生を豊かにしてくれていることも忘れてはいけないのかも。
インパクトのある表紙、かつ漫画と侮るなかれ。
中身は社会、人間、幸福などをテーマにした哲学書とも言えるかもしれません。
大人子供に限らず、人生を今一度考えて見たい方に!