ずんのブログ

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【書評】知ろうとすること。/早野龍五・糸井重里

東大の早野教授と糸井重里の、福島の原発事故について対談記録。対談というか、糸井重里が生徒役で早野教授が先生、といったポジショニング。

全編にわたり、原子力放射線)の危険性が平易な言葉で綴られていて、前知識のないひとでもすらすら読めます。

糸井重里が早野教授を知ったのは、震災後の福島関連のツイッターと通じてだそう。淡々と裏付けのある事実を、正義を掲げるでも変に悲観的になるでもなく述べる姿に、これは信頼できるひとだ、と判断したそう。

自分も仕事上、時々報道に関わることがありますが、

・文や映像になっているコンテンツにも、いくらでも誤りがあること

・社風や記者の考え、思想より、「印象」をいくらでも操作しうること

をよく痛感します。福島で農作物に含まれる放射線量の基準値が見直される、という事象がありました。もともとの数値も世界的に見て十分安全だったものを、より厳しく見直したという内容なのですが、メディアによっては以前の基準値が甘すぎたのではないか、とか、再設定された基準値も危ないのではないかといった論調がほとんどでした。

確かにそういった点からの検証も、一般市民の視点からすると大事なのはわかりますが、もっと大切なのは、新しい基準値にどのような意味合いがあり、含有されるリスクはどの程度なのかということなのかと。

科学者にはそれを説明する、ある種の義務がありますし、「一般の人は何度説明してもわかってくれない」という愚痴で終わらせてはいけないですね。

放射線の基礎知識、福島の現状、報道のありかたを考える参考に!

https://www.amazon.co.jp/知ろうとすること%E3%80%82-新潮文庫-早野-龍五/dp/410118318X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1532873693&sr=8-1&keywords=知ろうとすること