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【書評】凍/沢木耕太郎

とんでもない作品を読んでしまいした・・。ここ数年で得たことのない、ずっしりとした読了感。流石の沢木耕太郎、といったところです。

凍 (新潮文庫)

凍 (新潮文庫)

 

 世界最強とも言われた、山野井泰史・妙子夫妻がヒマラヤの難峰ギャチュンカンに挑んだ姿を描いた作品。

ストーリーでも淡々と書いてみようかと思いましたが、沢木耕太郎の圧倒的な筆力の前に、若干圧倒された感があるので、登山に興味がある方、何も言わず読んでみてください。ベースキャンプから二人で山頂を目指し、結局は夫の泰史だけサミット、雪崩に遭遇し瀕死になりながらも下山。事実は小説より奇なりなんて言いますが、まさにその通りという感じです。

一般人からみると、体力も精神力も強すぎて別次元の人間に見えます。

 

話は変わりますが、数年前からマラソンを始め、最初は数キロでゼエゼエいってたのがやがて10kmの大会に出、ハーフマラソンも感想し、そのままの勢いでフルマラソンまで。挙げ句の果てに?安達太良の50kmちょっとのトレイル(12時間以上、山中を走り続けるというドM競技)にチャレンジしたりしております。

そんな話を周囲にすると「そんなきついことして何が楽しいんだ?」という質問をよく受けます。健康にいいから、ダイエットにもなる、脳にも良いらしい・・と後付けの理由はなんぼでもあるのですが、結局のところ明確に言語化できていません。ただ、根っこに一つ流れているのは「自分ってどこまでできるの?」っていう答えを探しているということかもしれません。

登山家も、死の危険を間近に感じながらより高い峰、より難易度の高い山を目指します。一歩間違えると死ぬのになぜ?と疑問を抱く方も多数おられるでしょうが、自分はなんとなく(ほんの数%程度かもしれませんが)、彼・彼女らがなぜそこまでして難関にトライしようとするのか、というのがわかる気がします。

そこまでして得たい自分なりの”達成感”がそこにはあって、それを得るためには命をかける事も辞さない。そういうことなのかなと。

深夜特急深夜特急ノートからの久々の沢木耕太郎作品でしたが、このままハマりそう・・・笑