ずんのブログ

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【映画】七つの会議 池井戸潤

半沢直樹空飛ぶタイヤなど、企業にまつわる大ヒット小説をたくさん発表している池井戸潤さんの小説の映画化。半沢直樹のドラマも一時期大ブームになりましたので、これは見ねば!ということでTOHOシネマズに突入してきました。

午後からの開演で、スタート10分前くらいについたのですがほぼ満席。良い席で鑑賞したい方は、少し早めの席確保をオススメします。

 

舞台は東京建機という会社。親会社のぜノックスという大企業があり、主にそこの製品の営業販売を担っている営業課で発覚した不祥事を巡る物語です。

営業一課で飛ぶ鳥を落とす勢いで成果を上げていた坂戸課長は、同課のぐうたら社員八角にイライラが募り、ついには爆発させてパワハラ問題にまで発展。でも、あれだけ成果を上げている課長だから処分は甘いだろうという雰囲気を裏切り、坂戸は左遷に加え行方不明となる。

坂戸の代わりに営業一課の課長となった原島はそのことを疑問を感じ、庶務をしている浜本とともに、八角さんの素性を追い始める。そこで彼らが気づいてしまったのは、坂戸が会社の存続に関わる規模の超大規模な不祥事であった(ねじ強度の偽装問題)。ただ、もっと深掘りしていくと、不祥事の根本は坂戸ではなくさらに上の・・・と黒幕が明らかになったところで物語は終わります。

 

エンディングの国土交通省の取り調べで、主人公の八角が語った

「偽装は無くならない」

というのが物語を通して池井戸さんが訴えたかったことかもしれません。

雪印の食中毒、自動車会社の燃費偽装を始め、昔から数年に一度は大企業の不祥事が明らかになり、大問題となります。企業のトップを含め、隠蔽がどれだけ社会的なインパクトがあるかは、言葉にするまでもなく皆が痛感しているところ。それでも、ちょっとした出来心のデータの偽装や嘘偽りが雪だるま式に大きくなり、公表するにはインパクトが大きすぎ、結局は隠蔽というお決まりとなってしまった轍を辿ってしまう企業が後を絶たないのでしょう。

はたから見ていれば「なんて馬鹿なことを」と片付けてしまいがちかもしれませんが、自分が似たような立場になった時に、本当に「神に誓ってこんなことはしない」と言い切れるでしょうか。

自分のことを身を粉にして守ってくれた上司に、少しでも良い思いをしてもらいたい・安心してもらいたい、これだけ苦労をしたのだから、少しくらいいいだろう・・・魔が差す、というのでしょうか。人間誰しも弱いもの、社会人の皆、同じ状況になる可能性はゼロではないんだろうな、と鑑賞しながら思ってしまいました。フィクションですが・・

一つ苦言を呈すると、八角の昔の心の傷をもっと丁寧に描写すべきだったかと。ぜノックスの副社長の梨田からの厳しいノルマの下、老夫婦に無理やり商品を売りつけ、その老人が自殺をしてしまったから、こんな無理やりな営業はしたくないのだ!というつながりなのですが、その出来事と現在のグータラスタイル、自分に正直に生きるスタイルへのつながりが少し飛びすぎかなぁという印象です。

といっても、それを差し引いても十二分に面白い作品でした。池井戸作品は間違いないですね。

nanakai-movie.jp