【書評】This is water / David Foster Wallace
変なタイトルの本だな・・というのが第一印象でした。
恐らく多くの方も同じような感想を持つのではないでしょうか?
新聞の書評欄を見ていたらふと目に入った本書。アマゾンで調べて見たところ高評価&入荷待ちとなっていたこともあり、読書欲のままに書店で購入しました笑
David Foster Wallaceという自殺してしまった作家が、2005年のケニオンカレッジの卒業式に招かれた際のスピーチを収録したものです。
スピーチなだけあって、文章量は少なめ。文庫サイズにさらに余白を多くとってあるので、20分もあれば読了できます。そして、読了と同時にタイトルの意味が分かります。
鬱を患い、人生に思い悩み、苦しみぬいた末に自ら命を絶った著者が、生前に周囲の人々に伝えたかったことの要諦は、「自分の殻に閉じ篭るべからず」ということ。
疲れているのに大渋滞にはまったり、早く帰りたいのにレジの前の人がもたついていたり・・・そんなことでイライラした経験、数えきれないほどありますよね。
でもそれって、なんでイライラするのでしょう?もうオートマチックに(無意識に)なってしまってますが、そんなことで気分を害して時間を過ごすことって、きっとすごく勿体無い。けど、大半の人は、そこに疑問も持たずイライラを当たり前のことと思ってしまう。著者はきっとそこに警笛を鳴らしたかったのかと。
大渋滞で隣になったクルマは、実は子供が急病で急いでいるのかも知れない、レジに並んでいる人も、自分より疲れているかも知れない。少し立ち止待って考えれば、もしかしたらより良い人生がおくれるかもしれません。最後に、本書でささったフレーズを引用して終わりにします。
ほんとうに大切な自由というのは
よく目を光らせ、しっかり自意識を保ち
規律を守り、努力を怠らず
真に他人を思いやることができて
そのために一身を投げ打ち
飽かず積み重ね
無数の取るに足りない、ささやかな行いを
色気とはほぼ遠いところで
毎日続けることです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00FOR2BDI/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1