ずんのブログ

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【書評】小さな村のウルトラランナー 大川卓弥

ウルトラランナー重見高好への取材をまとめた作品。

走る目的は人それぞれだが、彼は長野県売木村の専属ランナーという実業団でもアマチュアでもない、ちょっと珍しいポジションにいるランナー。彼の名前を見たのは本書を通してが初めてだったが、サロマ湖ウルトラマラソンや24時間耐久マラソンでも結果を残しており、実力は折り紙付き。

なんでそんな実力のある人が、実業団にも所属せず、長野県の田舎の村で一人で淡々と練習をし、レースに出場するのか?それは、本書に書かれている彼の生い立ちを見るとわかる。

暴力を振るう父親、精神的な病に倒れた母、貧乏な家庭。そんな環境からか、周りにバリアを張りながら学生生活をしていた彼。楽しみのない生活の中、唯一夢中になれることが、努力がちゃんと報われる長距離走だった。黙々と練習に励んみ、中学時代には全国的にも有名な選手となり、高校には陸上選手として特待生入学を果たすが、禁止されていたバイトを続けたことにより、高校を退学することとなる。

しばらく陸上から離れた時期もあったが、やはり捨てきれきれない長距離、実業団所属への憧れ。ひょんなことからその夢は実現することになるが、順風満帆、とはいかずであった。時は経ち、再度長距離走への挑戦のために練習用の合宿の地として選んだ売木村で、運命的な出会いがあり・・・。というストーリー。

毎朝5時16分に起き、平日は2、30km、休日には7、80kmと月間1000kmを淡々と刻む彼の姿にはどこか修行に通じるものがある。こんな生き方もあるのかと興味が惹かれる一冊でした。

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